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感謝

昨年の今日、ハッチ大王と出会った。

たまたま今日、パソコンの文書を整理していたら、昨年八郎(ハッチ大王)の世話をしていた人に書いた手紙が出てきた。

もうひとつ、目の見えない猫の八郎君のことでお願いがあります。
あの状態で外の暮らしを続けるのは辛いでしょう。見ていて胸が痛みました。
もし八郎君がGさんの飼い猫でないなら、里親さんの募集を掛けたいのですが、いかがでしょうか。
Kさんも事情をわかってくださって、一旦W病院に連れて来てもらって、一通りの検査をした後、一時預かりさんと里親さんを募集するのを手伝ってくださるそうです。
あんなに人懐こい子ですから、きっとよい御縁が見つかると思うのです。
よろしくお願いします。

冒頭に「もうひとつ」とあるように、他の用件の手紙の最後についでに書いたのがその後の全ての事の発端だった。
つまり、これを書いた当時(八郎にGさんの家で会ってから3日目)には、切羽詰まった気持ちは全く無かったという事だ。

八郎との出会いはとても不思議なものだった。
私とファンヒーターの間に座って、じっと動かない猫がいたので、てっきりGさんの飼い猫だと思って「大人しいですね」と頭を撫でたのだった。

「いえいえ、勝手に入って来るんですよ」

勝手にって、猫がドアを開けるわけがないのに変な事を言う人だと思いつつ、良く見ると目やにが一杯で背骨が触って分かるほど痩せているし、毛艶もすこぶる悪い。
なるほど飼い猫ならこんなに汚い訳が無い。しかし、袖擦り合うも他生の縁というし、大人しそうなので顔の汚れを取ってやろうとしたら、なんと眼球が真っ白に濁っていた。

「目が見えないんですね」とGさんに尋ねるとそうだという返事。
単に盲目というだけでも外での暮らしはさぞ不自由だろうに(八郎のテリトリーはすぐ近くに環七が走っているような場所だ)、体調も悪そうでとても心配になった。

結局帰宅後も八郎の事が頭から離れず、なんとかして里親を見つけて暖かい家の中で暮らして欲しいと思い立った。
あまりに思いが強すぎて、気合い十分なのは良いが、ペンを走らせるとミミズが這ったような文字になってしまって上手く書けない。
仕方なくワープロで文章をまとめて、3日後にはGさんへFAXを送っていた。
その後彼と私の間にどんな事が起こるのか想像すらせず…。

惜しむらくは、食欲旺盛と言う割には背骨がごつごつと手に触れていたのがちょっと心の隅に引っかかったのに、今すぐに保護しないといけないとは思わなかった事だ。

たとえ外猫であっても、食事を定期的にくれる人がいるのに、それでも痩せているというのは、病気をしていると考える方が妥当である。
好き好んで絶食をする猫などいない。

あれから一年。
もっと生きて欲しかったと何度となく思った。
そして、最後の時を一緒に過ごせなかった事も、未だに辛い思い出だ。

ただ言えるのは、今更このときの事を悔やんでも仕方ないという事。
しかし、今後に生かす事はできる。いや、生かさねばならない。

ハッチ、ありがとう。君と出会えて本当に良かった。

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