ENT 062 Similitude ライサリア砂漠幼虫 

倫理についてのとても深刻なストーリーです。
トリップがエンジン改良を思いついたのでテストをする。
その最中に爆発が起こり彼は頭部に重症を負う。
昏睡状態のため、自分が壊したエンジンの修理もできず。
エンジンテストの最中に、直径1万1千キロの極性フィールドに差し掛かったのが事故の原因だった。
この、磁気を帯びた物体が浮遊する領域で船は全く動けなくなってしまう。
急いで脱出しないと物体の影響でシステムが完全停止して、全員が死ぬという。
以下船長が考えたこと。
「トリップが働けない=エンタープライズが動かない=Xindy探しもできない=地球の危機→じゃあトリップはいかなる手段を使ってでも助ける」
短絡的すぎ。
脚本家もこれだけじゃ視聴者が納得しないと思ったか、当初手術で組織を取ったあともシムは寿命の2週間は生き続けられるとフロックスが言っていたのに、それは人間についての研究ではなかったという屁理屈を付けてきました。
フロックス程の医者がライサリアでは違法と言われる治療を決意し、詳細に調査したからこそ船長に「シムは犠牲にはならない」と言えるのであって、そんなケチな理由では白けてしまいます。
その後、シムが考えた方法でエンタープライズはエンジンが直る前にシャトルポッドで牽引してフィールドを脱出しました。これもシム(トリップの記憶を持つ)じゃなければ思いつかなかった方法かと言うと多少怪しい。
そして、シムが手術の影響で死ぬと判ってどうするべきか、一番苦しむべきはフロックスなのに、船長に選択を委ねてそれっきり。事実を伝えたときは悔しそうでしたが。
もちろん、友人であり機関主任であるトリップを救うためとはいえ、知性がある生命体の命を絶つ事になる命令を出さざるを得ない船長は苦しんではいるのですが。
最終的な判断をシム自身にさせたように見せているというか、そう思いたかったエンタープライズの人たちのエゴがみえみえで、実に後味が悪い結末でした。
ところで、オープニングを良くみると棺の主がタッカーではないとわかってしまうんですよね。
(ま、普通は1回目にはそこまで見ないと思いますが)
いつもの赤線いりツナギを来て棺に横たわっている遺体。その右胸には階級をあらわすバッジがひとつもついていません。
軍ではないと言っても準拠する階級をつかっている組織なので、こういう場合は階級どころか勲章だってビラビラくっつけるハズなんで、この映像を見ただけで「タッカー少佐ではない」とわかる人にはわかると思います。
でも、実は現地では下衆な野郎がリークしてしまい、放送前に「タッカーは死なない」と知ってしまった人もいたんだとか。
折角のサプライズ演出なのに、製作側の苦労を台無しにするのは無粋ですね。
トリップを演じたConnor Trinneer(コナー・トリニアー)は、奇しくもスターゲイト アトランティスの”Michael“という、「自分の命(人生)を他人が勝手に決める」という、良く似たテーマのエピでも主演しています。
しかし、事実を知ったときの演技は対照的です。
このエピの主人公でありトリップのクローンである「シム」は、自分が死ぬと判ってからも船長が手術を行うつもりだと聞いて、自分にも生きる権利が在るだろうと主張しますが、自分の元々の寿命を知らされていた為か、やや静かな怒りと言う感じ。
一方マイケルは、記憶を消されたうえ、ひどい苦痛を伴う処置をされ、実験動物と同じ扱いを受けたと知って、もう誰も信じられないとショックをあらわにする。
どちらも「出口なし」って感じで痛々しく辛いお話なので、観賞後は多少気分が落ち込むかもしれません。

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