<この日も日誌は書いていないので、後日思い出して書いています>
晴天。
静かな夜だった。ハッチがいなくて不安だったのに熟睡してしまった。
ただし、寝たと思ったら、次の瞬間起きる時間だったような、そんな睡眠だ。
明日までは特に私が出来ることもないから、夕方にでも面会に行く事にした。
ハッチがどうしているのか、気が気じゃない。
でも、悶々と過ごしていても仕方ないので、掃除を始める。入居して以来余り豆にやらなかった窓掃除だ。
内側はそれほど汚くは無い。が、外が埃だらけだった。
ベランダに出て黙々と磨く。
3にゃんが出てこないよう急いで出て、窓を締めきる。
後から考えると、病院から電話が来たら聞こえなかっただろうから、判断がまずかったと思った。
幸い、拭き終わるまで電話は無かった。
お昼近くなった。しかし昼食の支度をする気になれなかった。
お茶でも飲んで休憩しようと思ったそのとき、電話が鳴った。
「すぐに来てください」
先生の緊迫した声の様子から、容態が悪くなったことがすぐわかった。
でも、このまま終わってしまっては嫌だ、少なくとも私だけはよくなることを信じているのだということを示したかったので、あえて手ぶらで走っていった。
通いなれていないせいか、昨日より長く感じる。
急いでいるのに、途中で自転車からモノを落とした人がいたのを教えてあげるという、おかしな行動をとってしまう。
そして病院に着いて外から様子をみると、昼だからなのか他の患蓄さんが誰もいなかったので、何の気遣いもせずに入っていく。
すぐにわかった。
先生もVTさんも悲しい顔をしていた。
「だめでしたか」
私はそう言うことしかできなかった。
とめどなく涙が流れるのを気にもせず、頭をなでながら「はっちゃんゴメンネ」と繰り返した。
そのまま抱いて帰るわけには行かないのでキャリーを取ってきますと告げ、一旦帰宅。
財布と布製の大きいキャリーを持って病院へ取って返す。
たぶん、このとき歩いている間は、おかしな顔をしていたのだろうと今になって思う。
今度は私が戻ってくる間に患蓄さんが来ていたので、あまり変な顔をしないよう気をつけて入っていった。
VTさんが前足の点滴針を巻いていた包帯をはずしてくれていた。
わざわざタオルを枕にして寝かせていて下さったので、ご好意に甘えてそのままキャリーに寝かせた。
ぐにゃりとしたハッチの体がまだ少し温かい。
受付で支払いを済ませ、ゆっくりと歩いて帰宅。
明るい春の日差しが爽やかだったが、そんなことをじっくり感じることはもはやできなかった。
玄関に入ってすぐに、キャリーからハッチを抱いて出した。
どうしたことかハッチの咽から「ぐうー」という声が出た。
もっとそっと抱いてと言って怒られたのかな、ごめんねなどと、独り言を言いながら部屋へ入る。
3にゃんたちは、他の誰かが病院から帰ったときにやる「フーシャー」をせず、ハッチを不思議そうに見ている。
私がソファーでハッチを抱いて何時間も泣いている間も、文句も言わず静かに寝ていた。
最後の夕日を一緒に見た。
そして、夕日の中のひまわり色のハッチを写真に残した。
何時だかわからないが、外が暗くなった頃、空腹をおぼえて買い物に出た。
こんな日でも空腹になるのが変な気分だった。
しかし、何時間も泣いたあとなので、目は泣き腫らしてとんでもない顔になっていたので、一瞬躊躇したがしかたない。
家にある物でも良かったが、4月にしては結構暖かな日だったので、ハッチの為に氷を買ってこないといけないと思ったのだ。
サングラスを持っていないので、とても恥ずかしかった。
氷(コンビニのロックアイス)を買ってきて、猫ベッドに寝かせたハッチの横にタオルに巻いて置いてやった。
どれほどの効果があるかわからないが、何もしないよりはいいだろう。
比較的近いところにあるお寺で焼いてもらう事にして、電話で手続き。
立会い供養にはしなかった。火曜の朝に連れて行って、後日お骨を引き取ることになる。
お寺を紹介してくれた友人夫婦が一緒について行ってくれると申し出てくれた。
さて、翌日まる1日、ハッチをそのまま置くわけにはいかない。
でもドライアイスがどこで買えるのかわからない。困った。
とにもかくにも夜になり、布団の横にハッチのベッドを置いて添い寝した。
本日の支払明細
再診料 500円
夜間監視 5000円
入院料 4/17、4/18(1泊) 3000円
静脈点滴 12時間 4000円
血球検査+15項目検査 8000円
税込み支払総額 13125円
入院に関係した費用を値引きしてくださった。